子どもの頃、暮れになると家族で餅つきをしたのを憶えています。
父がつき、母が返して、杵と臼でつくお餅は伸びも良く、コクもありとても美味しかったです。
それから少し経つと、餅つき機がわが家に届き、母と祖母が機械で作ってくれるようになりました。
お餅が大好きな妹は、お正月が終っても、何日もお餅を食べていました。
身体の弱かった私に比べて、風邪もひかない丈夫な妹は「お餅のお陰なんだよ。」と、よく祖母が言っていました。
今回は、お正月には欠かせない、そんなパワーの源、お餅の話です。
餅つきの起源に迫り、餅つきの合いの手のやり方とお餅の美味しい食べ方を紹介しちゃいます!
餅つきの起源
わが国には、古くから水稲耕作が行われていて、豊作を祈願し、収穫を感謝して田の神を祀る、「稲作信仰」というものがあったそうです。
この稲作の豊穣をもたらす田の神は、春になると山から降りて来て、秋に山に帰っていくと考えられていて、稲は「稲魂」や「穀霊」が宿る神聖なものとして、崇められてきました。
ですから、稲から採れる米は、人々に生命力を与える神聖な食べ物で、米から作る餅やお酒は、特別パワーがあるとされていたのです。
特に、お正月の行事には欠かせないお餅は、昔から鏡餅として歳神様にお供えしていました。
神聖で大切なお米で作ったお餅を、お正月にお供えすることが、年神様をお迎えするための最高のおもてなしとされたのでしょう。
鏡餅には、歳神様が宿ると考えられています。
そんなお正月に鏡餅を用意するようになったのは、平安時代からだそうです。
お餅には随分長い歴史があるんですね。
当然、昔は臼と杵でついていたと思われます。
餅つきの合いの手のやり方は?
昔ながらの杵と臼を使った伝統的な餅つきは、餅つき機や切り餅の商品化などで年々影を潜めていますが、秋の収穫後の幼稚園などのイベントや、年末年始のホテルのイベントなどで見かけます。
杵でつく人と臼で返す人の、威勢のいい息の合った掛け声は、とても気持ちのいいものです。
しかし、お餅を返す人がタイミングを間違えて手を怪我しないためにも、お餅を返す合いの手のやり方について調べてみました。
手返し(餅を寄せたり裏返したりすること)の目的は
- もち米のやわらかさを均一にするため。
- 臼や杵に餅がくっつかないようにするため。
ですから、臼や杵に餅がくっつかないようで、もち米が均一につけるなら、手返しは必要ありません。
それでは、手返しのコツをお話ししましょう。
①返し手は5~6回杵でついた後
もち米を臼に落として、杵先で3割ほど潰して、まとまってきたらつき始めますが、返し手は5~6回ついてから始めてください。もち米の重さで臼底に返ってくるようです。
②水は少なめに付ける
餅が熱くて水を多めに付けてしまうと、出来上がりの餅が水っぽくなってしまい、冷めると固くなりやすく、カビが生えやすくなります。
手返しする際に水がつくので、餅の表面に水分をつける手水は、あまりする必要はないです。
③手返しは少なめに。
1回つく間に2,3回寄せたり返し、ひと臼つくのに、入れる手返しは7、8回程度で充分です。
④タイミングを合わせる
つく人と合いの手をする人のタイミングを合わせることです。
「えい」「ほっ」「えい」「ほっ」とか、「よいしょ」「はい」などの掛け声を掛けて、リズムよくするのが安全です。
注意したいのは、手返しする人は手がとても熱くなるので、手水用桶の中に手を入れて充分に冷やしてから始めることと、手返しの際に指先や手のひらについた餅は、すぐに冷やし、次の手返しまでにしっかり落とすことです。落とさないままで次の手返しをすると、また同じところに餅がついてしまいます。
餅の美味しい食べ方は?
お正月のお餅の食べ方の定番は、もちろんお雑煮です。
それから、おしるこなども相変わらず大人気の食べ方ですね。
お正月も3日を過ぎると、さすがにお雑煮や焼き餅にも飽きてきます。
わが家は、お餅のいそべ焼きにしたり、揚げ出し餅、もちピザなどにして頂きます。
今回は、フライパンでできる、簡単な「もちピザ」をご紹介しましょうね。
もちピザのレシピ
材料:切り餅3~4枚・油少々・ケチャップ少々・お好みの具少々・ピザ用チーズ量はお好みで塩コショウ・できれば白ワイン。
- お餅は3~4枚を薄く切って少し油をひいたフライパンに並べます。
- 蓋をして少しやわらかくなってきたら、ケチャップを薄く広げて付けます。
- タマネギ、トマト、ピーマン、ツナ、コーン、ベーコン、ハムなど何でも小振りに切って並べます。(お正月料理で残ったエビやイカ、ホタテなども)
- そこにピザ用のチーズをたっぷり載せて、少し白ワインなどをかけ、塩コショウして蓋をします。
- チーズが溶ければ完成。
お子さんはもちろん、みんなが大好きなもちピザです。
一度お試しください。
まとめ
今回は、餅つきについてお話してきました。
合いの手のやり方のポイントは、水を控えめにすること、呼吸を合わせることでした。
お餅の美味しい食べ方はたくさんありますが、今回は「もちピザ」をご紹介しました。
お餅の起源は、「稲作信仰」から来たもので、神聖な食べ物のお米から出来る「お餅」には、パワーが宿り、お正月の歳神様にお供えする「鏡餅」に、歳神様が宿るといわれているからです。
現在では、お正月でなくても手軽にお餅が食べられるようになりました。それでも、杵や臼でついた餅は、コシや伸びが全然違います。
お正月を迎えるために、家族のために、歳神様のために「えっさ」「ほいよ」「えっさ」「ほいよ」という、杵や臼でつく餅つきの掛け声がこだまする、そんな昭和初期の光景を、もう一度見てみたくなりました。