おなかが鳴る原因

「どうしてお腹が減るのかな」と歌う童謡がありますが、お腹が減るとぐぅ~っとお腹が鳴ることがありますね。

漫画やドラマのシーンでも、お腹が減っているのを隠していた登場人物が、お腹が鳴ることで空腹であることがバレてしまうという演出がされることがあります。

空腹でお腹が鳴ることを「腹の虫が鳴く」といったりしますが、これは、江戸時代に生まれた表現であるようです。
医学がまだ発達していない時代ですから、原因不明の現象をお腹の中にいる「虫」が引き起こしているものとしたというのが語源であるようです。

時代が下った現代でも、お腹が減ったときにお腹が鳴ってしまうということはよくありますよね。
他人に聞かれてしまうととってもはずかしいものですが、そもそも、なぜお腹が減るとお腹が鳴るのでしょうか。

また、空腹によってお腹が鳴ってしまうのをなんとか止める方法はないものでしょうか。
今回は、空腹によってお腹が鳴ることのメカニズムとどうしてもお腹の鳴りを止めたいときにどうすればよいのかということをご紹介していきたいと思います。

なかには、お腹が鳴るのはどこか体が悪いのではとお思いの方もいらっしゃるようです。
ということで、お腹が鳴ることと健康の関係ついても解説していきたいと思います。

フクちゃんフクちゃん

今回は、空腹によってお腹が鳴るメカニズムと、どうしてもお腹の鳴りを止めたいときの方法をご紹介します。

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おなかが鳴る原因は?

医学的にいうと、お腹が鳴ることを腹鳴(ふくめい)というそうです。

腹鳴が起こる原因は、消化管の中の空気が移動するときの音だといわれています。

ブーブークッションというおもちゃがありますが、ゴムの袋に空気を入れて、その空気が外に出ようとするとき音が鳴りますよね。
同じようなことが、胃や小腸の中で起こっているというわけです。

空腹でなくてもこの現象は起こっているのですが、特に空腹時には胃が空であるためより大きな音が出るというわけですね。
ですので、単純な話ですが、腹鳴を止める一番の方法は何か物を食べて空気だけが漏れ出るという状態を無くすということになります。

また、小腸や大腸でも腹鳴は起こります。
たとえば、水が満タンに入ったビニール袋があるとしましょう。
これを振ってもあまり音はしません。

ところが、水を少し減らして空気が少し入った状態のビニール袋を振るとどうなるでしょう。
バシャバシャと大きな音が鳴るでしょう。
このように、水と空気を含んだ状態になると、小腸や大腸でも腹鳴が起こるというわけです。

そして、小腸は栄養、大腸は水分を吸収する働きをしています。
大腸はガスが充満していて音が鳴りやすいといえるのですが、あまり動きません。
ところが、小腸は活発に動くため、結果として小腸の方がよく鳴るということになります。

では、小腸はどんな時に鳴るのでしょうか。
大きく二通りあると考えられています。空腹時と消化時です。

空腹時は、唾液や胃液などの消化液が小腸に流れていくときに、小腸全体が強く収縮するします。
そのため、音が出るというわけです。これが空腹時の腹鳴ですね。

そして、消化時には、食べ物や水分が小腸に流れていき、このときに小腸が流れます。
このときに音が出るというわけです。これが消化時の腹鳴です。

ですので、腹鳴がするというのは、ある意味で健康な証拠なのです。

空腹時も消化時もお腹が鳴るというのですから、人間であればだれでもお腹は鳴るということですものね。
全くお腹が鳴らない、逆にお腹が鳴り続けるというのは、消化器官に何らかの異常がある可能性があります。
気になるという方は、かかりつけのお医者様に相談してみてもいいかもしれません。

胃や腸の消化活動は無意識に行われています。
心臓が動いているのも無意識によるものですよね。
消化や心臓の動きは自律神経の働きによるものです。
自律神経というのは、交感神経と副交感神経をまとめて言ったものです。
ですので、自律神経の働きを正常なものにするには、交感神経と副交感神経のバランスを整えると良いということになります。

では、交感神経と副交感神経のバランスをよくするには、どうすればいいのでしょうか。
例えば、マッサージが効果的といわれています。
お腹に手を当ててマッサージをするのがいいでしょう。

また、アロマも効果的といわれています。さらに、お腹が張ってつらいという方はミントを染み込ませた温かい蒸しタオルでお腹を温めるのも良いといわれています。
そのようにすることで、胃や小腸が正常に動き始めます。

食べ物としては、シナモンは腸の働きをよくするといわれています。
シナモンティーは手軽にシナモンをとることができますね。
また、お腹が痛くて、グルグルという音がする腹鳴のあるときは、ショウガがいいですよ。

お腹が鳴るメカニズムを知ると、お腹のためにどんなことをすればよいかがわかってきましたね。

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おなかが鳴るのは健康と関係はある?

すでにご紹介したとおり、空腹時や消化時にお腹が鳴っているのは正常に胃や腸が活動している証拠ですので、お腹が鳴っているときは、自分の体はがんばっているんだなと思えばいいということになります。

お腹がぐぅ~と鳴っているときは、次の食事をお腹の中に入れられるようにするために食べ物を移動させているというわけですね。
そのため、まったく腹鳴が聞こえないという場合は、腸に異常がある場合があります。
腸閉塞の予兆である場合もありますので、医師に相談をするのがいいでしょう。

また、次のような症状に悩まされているという方もいらっしゃいます。

毎日、一日中お腹がグルグルとうるさいくらい鳴るという48歳の女性。
お腹の音がうるさいので、恥ずかしくて静かなところでは人前にいられないほどだといいます。
この女性は静かなところで机に向かうというお仕事だそうで、隣の人に自分のお腹の音が聞こえてしまうのではないかとドキドキする毎日だといいます。
また、大事な面談や面接のときなども困ってしまうといいます。

さらに、水分をとったときにもお腹が「ボコボコ」と鳴ることがあり、なんとあくびをしただけでもお腹が鳴ることがあるのだといいます。
これは、「お腹が減った時お腹が鳴って恥ずかしいことがある」というどころの話ではありませんね。
とても気の毒な症状といえます。

この女性の場合、過敏性腸症候群にかかっていると考えられるそうです。
この過敏性腸症候群というのは、いわば消化管の自律神経失調症ともいえる症状。
精神的な緊張や過度のストレスによって、腸管運動の異常や脳・腸管の知覚過敏が生じることで起こるとされています。

単にお腹が鳴り続けるだけでなく、下痢や便秘を繰り返したり、おならや腹部の不快感、満腹感が長期にわたって続くことがあるそうです。
このような症状が長い間続くにも関わらず、血便や発熱が起こることはなく、このことが原因で痩せてしまうということも無いそうです。

すでにご紹介したとおり、ストレスなどが原因で交感神経と副交感神経のバランスが悪くなってしまっていることが原因です。
近年、この女性のように生活や仕事が正常に営めないほどの症状が出る過敏性腸症候群の患者は増えているといいます。

患者としては、若い方、特に女性が多いといわれ、現代病の一つと言われるほどになっています。
治療としては、まず、患者さん自身が、この病気の原因が精神によるものであるということを認識することが大事だといいます。
その上で、しっかりと睡眠をとったり、精神的な安静が得られるような環境を取り戻すことが肝要になってきます。

暴飲暴食を避ける、刺激の強い食べ物は避ける、適量の食物繊維を摂取するような食生活が重要です。
さらに、消化管に作用するような薬物治療が行われることになります。
お薬での治療も大事なのですが、ストレスを取り除くのが大切であるといわれています。

腹鳴自体がストレスのもとになってしまうことがあり、さらにそれがストレスとなって悪循環を起こしてしまうこともあるようです。
これは、腹鳴恐怖症(胃腸神経症)とも呼ばれ、ひどくなると抗うつ薬などで診療内科的な治療が行われることもあるそうです。

「お腹が鳴る」という誰にでも起こる生理現象ですが、こんな怖い病気につながってしまうこともあるのですね。

おなかが鳴らないための事前対策と鳴るときの対策

まずは、空腹時に適度にお腹が鳴るのは正常なことであるということを知っておきましょう。

お腹が鳴ると困るという場合は食事をとるようにするのが一番の方法といえますね。
それでも、「今お腹が鳴るのは困る」というタイミングはあるものです。

いざという時の応急処置をいくつかご紹介します。

背筋を伸ばす

お腹が鳴りそうというときは、背筋をピンと伸ばしてみてください。
猫背になると、お腹の中にかえって空気がたまってしまい、その空気が外に出るときに音が鳴ってしまいます。

背筋を伸ばすことでお腹の中に溜まる空気ができるだけ少なくなるようにします。
お腹の音を聞かれたくないと猫背になるのは逆効果ということですね。

空気を大きく吸い込んでお腹を膨らませる

お腹の中の空気が増えて余計に音が出てしまうのではと思ってしまいますが、肺に空気を入れることで横隔膜が下がって、胃の収縮運動を止めることができるといいます。
腹式呼吸を意識して行うと、体の内側から胃に圧力をかけることで腹鳴を止めるというわけですね。
そして、息を吸い込んだタイミングで背中を軽くたたくと、胃の空気を腸に流すことができ、さらに効果的です。

飴をなめる

空腹時の腹鳴対策であれば、飴をひとつなめるだけでも効果があります。
飴をなめて血糖値を上げることで、脳がまだ空腹ではないと錯覚を起こし、腹鳴を止められるというわけです。

腰をひねる

空腹時のぐぅ~という腹鳴ではなく、食事後に鳴るぎゅるぎゅるという腹鳴を止めたい場合は、腰をひねるという応急処置が有効です。
20分から30分に一度、腰をひねってみてください。
デスクワークで長い時間動かないとガスが腸の一か所に集まってしまい、ぎゅるぎゅるという腹鳴の原因になってしまいます。

そこで、ガスが一か所に溜まるのを避けるために、定期的に腰をひねるというわけです。
こうすると、腹鳴がしにくくなります。

そもそも腹鳴を起こしにくくするために次のような予防法があります。

ゆっくり食べる

早食いをすると、食べ物といっしょに空気も体に入れてしまうことになり、腹鳴の原因になるといいます。
よく噛んでゆっくり食べると空気を飲み込むことも少なくなり、腹鳴だけでなくげっぷやおならを抑えることができるといいます。

炭酸飲料はあまり飲まない

炭酸は腹鳴の原因になります。お腹の中にガスを溜めてしまうことになるからです。
飲み物はコーヒーやお茶などにするほうが、腹鳴を抑えるのには良さそうです。

規則正しい食生活にする

食事は三食しっかりとるようにします。特に朝ごはんを抜くのはよくありません。
また、パンよりもごはんの方が腹持ちが良く、腹鳴を抑えるのにはふさわしい食事といえます。
また玄米は血糖値の上昇がゆるやかなのでさらにおすすめです。

同じく、血糖値の上昇がゆるやかである、豆類や魚、チーズもおすすめです。
仕事に出かける前にしっかりとお米の朝ごはんを食べてから出勤するというのが理想的な食生活といえそうです。

最後にまとめ

  • お腹が鳴る(腹鳴)のは、体が消化したり次の食べ物に備えて空洞を作っている証。腹鳴がまったくないという方が異常。
  • 胃や腸の働きを正常にするには、交感神経と副交感神経のバランスが大切。マッサージやアロマ、温かいタオルでお腹を温めるというのも効果的。
  • 逆に大きな腹鳴がずっと起こり続けるというのは、過敏性腸症候群という病気である可能性もある。
  • 過敏性腸症候群はストレスが原因とされている病気で、正しい食生活を取り戻すことや刺激の強い食べ物は避けること、食物繊維を適度に摂取することなどで改善されていく。
  • お腹が鳴ってしまいそうなときは、「背筋をピンと伸ばす」「大きく息を吸い込んで胃を圧迫する」「飴をなめて血糖値を上げる」「腰をひねって腸のガスが一か所に溜まらないようにする」などの応急処置が効果的。
  • そもそも腹鳴を起こりにくくするには、「ゆっくり食べる」「規則正しい食生活をおくる」「炭酸飲料を飲み過ぎない」などの心がけが有効。
  • また、三食きちんと食べる、ごはん中心の食生活にするということが大切なので、日々の生活や食べ物を見直すことが大事。
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