よく年をごまかして、若く言ったりすることを「さばを読む」とも言いますね。
その真意は、自分をよく見せたいという、ちょっとした見栄を張る虚栄心からですね。
今回はそんな「さばを読む」についてのお話しです。
だれもが一度は、さばを読んだことがあるのではないでしょうか?
さばを読むの「さば」とは?
「さばをよむ」は、「鯖を読む」ということで、さばは、ご存知魚の鯖のことです。
古くから日本人にはなじみの深い魚ですが、「さば」という名前は、小さい歯が多い事から「小(さ)歯(ば)」の意味であるといいます。
以下、鯖に因んだお話です。ちょっとお耳を拝借。
日本の太平洋各地で水揚げされるサバは秋が旬で「秋サバ」と言われます。
日本には「秋鯖は嫁に食わすな」という嫁いびりに繋げた言葉もありますが、現代では「脂肪が多いから嫁さんにはよくない」という解釈もあるようです。
また、フランスでは、四月バカ(エイプリルフール)のことを Poisson d’avril (4月の魚)といいます。
この『4月の魚』の意味は鯖のことを示していて、4月に入ると、鯖がたくさん釣れるからということらしいです。
鯖は真鯖(まさば)と、胡麻鯖(ごまさば)があります。
真鯖は旬が秋から冬で、新鮮なものは生食でお刺身でもいいですが、一般に酢でしめた「しめさば」や「さばずし」が有名です。
塩焼きはもちろん、味噌煮や竜田揚げも美味しいですね。
缶詰などにも加工され、海のない私の地元では鯖缶をタケノコ汁に入れたり、魚が無いときには缶詰と大根おろしなどで食べたりします。とても重宝です。
胡麻鯖は、年間を通して味が変わらないので喜ばれているそうです。
因みに「サバサバ」している。
などのことばの「サバ」は「鯖」ではなく、あっさりして、サバけているの「サバ」からきているそうです。
さばを読むの語源の由来は?
それでは、「さばを読む」の語源について調べてみましょう。
「さばを読む」の「読む」は、「数える」という意味になるそうです。
したがって意味は、自分の都合のいいように、「実際の数よりも多く言ったり、少なく言ったりしてごまかすこと」と、いうことです。
「さばを読む」の語源の由来には諸説ありますが、代表的なふたつの意味をご紹介しましょう。
数字をごまかす意味
数字をごまかす意味として江戸時代から使われていることばでした。
鯖が大量に捕れ、かつ鮮度低下が激しいため(「鯖の生き腐れ」などということばもあります。)漁師や魚屋が、数もろくに数えず大急ぎで売りさばいたのが起源という説です。数を間違えて、実際に売った数と買った数が合わないことが多かったようで、このように、いい加減に数を数えることを「鯖を読む」と言うようになったという説です。これが現在の意味に転じたというのが定説となっています。
つまり、「数をごまかすこと」ということです。
小魚を早口で数えること
小魚を早口で数えることを「魚市読み(いさばよみ)」といい、そこから転じたという説もあります。
魚市場で、サバ、イワシといった小魚は、早口で数えながら、早く箱に投げ入れていかないと間に合わないので、どんどん早口になっていって、その数え方を「さば読み」といい、後に数えてみると合っていないことが多くて、それが「さばを読む」となったという説です。
つまり、「早口な数え方」そのもののことでしょうか。
この他にも興味深いのが、「物を数えるとき二つずつ数えること」を、さばを読むとも言うそうです。これも、自分の利益になるように、数を誤魔化すことですが、『名語記』の記述から、刺鯖など二枚重ねを一連として数えたことから、二つずつ数えることを「鯖読み」と言い、後に誤魔化す意味として変わったという説です。
たとえば、よく女性はいつまでも若くいたいという願望のため、年齢をごまかして実際の年よりも若く言ったりします。これを「さばを読む」と言いますが、逆に実際は48歳でも、「もう50歳です。」というように、年齢を高く言って「お若いですね。」というリアクションを期待する言い方もあります。これは、「逆さばを読む」と言うそうです。
最後にまとめ
今回は「さばを読む」という、ことわざの語源や由来について、お話してきました。
それが、江戸時代の魚売りの、鯖の数え方や、魚市での早口が語源でした。
そんな「さばを読む」ということわざには、鯖を売る魚売りの魂を感じます。
「さばを読む」は、安定した江戸文化の発展を反映したことばではないでしょうか。庶民の生活が活気づき、鯖を数える威勢のいい声が聞こえ、あちこちで鯖を焼き、その香ばしい臭いのする煙が辺り一面に漂って、人々が美味しそうにそれを食べている光景が目に浮かんできます。
今日から鯖を食べる時は、このことわざを思い出して、噛みしめていただいて欲しいと思います。