天ぷらは、家族が大好きなメニューです。
ついついたくさん揚げ過ぎてしまい、翌日には天丼やお蕎麦やおうどんが定番になります。
わが家では、春には山菜。夏には採れたての野菜。秋にはきのこ。冬は根菜を揚げます。
季節を感じていただく天ぷらは、また格別ですね。
今回は、誰でも一度は失敗したことのある、天ぷらの揚げ方のお話し。
天ぷらの美味しい揚げ方や、具や鍋の種類について、さらに天ぷらの起源にも迫ってみましょう。
あなたもこれで天ぷら博士です。
天ぷらの美味しい揚げ方
天ぷらの揚げ方って難しいですよね。
油っぽいベタベタの天ぷらは美味しくないですから。
でもうっかりすると、やっぱりベタベタになっちゃう。
そんな悩みを解消します。
ここでは、天ぷらの美味しく揚がるコツを10選、ご紹介しましょう。
①具材の水気をしっかり取り除く。
水分があると、ベタッという感じになってしまい、カラッと揚がりません。
②衣の材料はすべて、事前に冷蔵庫で冷やす。
衣の小麦粉は冷やさないと「グルテン」という(ベタベタの基になる物質)が出てしまいます。衣を溶く水も冷蔵庫で冷やしておくといいでしょう。
③具に小麦粉を薄くまぶす。
衣をつける前に、食材に小麦粉を薄くまぶしてから衣をつけると、食材の水分が逃げずにきれいにつきます。
④衣作りでは、まず卵黄と水を混ぜる。
水と卵:小麦粉が1:1 これが黄金比です。
⑤衣に炭酸水を加える。
炭酸水を入れることにより、衣に泡が多く含まれます。
二酸化炭素の泡ができ、その二酸化炭素が衣に入り隙間が出来ます。
そのため、水分を飛びやすくなるのです。
⑥衣はさっくり混ぜる
しっかり混ぜすぎると「グルテン」が出て、揚がった時にベタベタになってしまいます。
⑦揚げる順番
低い温度で揚げる具材から順番に揚げます。
たとえば、青じそ(大葉) → ししとう → しいたけ・まいたけ → なす → えび → いか → きす → わかさぎなど内臓のついた小魚 → かきあげ → さつまいも・かぼちゃ・レンコン など。
⑧揚げる具に合わせて油の温度を調節する
箸で衣を数滴油に落として油の温度を確認する。
- 葉物野菜・・・160~170℃(衣が鍋底まで沈みゆっくりあがってくる)
- 根菜類・・・・170~180℃(衣が鍋の途中まで沈み浮き上がってくる)
- 魚介・肉類・・180~190℃(衣が鍋の途中まで沈みすぐに浮かんでくる)
⑨具は少量ずつ揚げる
一度に多くの具材を揚げると具材同士がくっついて、衣がはがれてしまったり、油の温度が下がってしまいます。
⑩揚がった天ぷらはバットに立てる
キッチンペーパーではなく、重ならないようにバットに立てて並べましょう。
油が切れやすくなります。
キッチンペーパーはバットの下に敷くようにしましょう。
以上が、天ぷらをカラッと揚げるコツ10選になります。
衣を冷すことや、揚げ方がポイントです。
美味しく天ぷらを揚げるために、手間を惜しまずやってみて下さい。
具や鍋の種類
具材は、なるべく季節のものを使用すると楽しいですね。できれば緑のものや赤いものがあると、見た目もきれいで食欲もわいてきます。
熱が全体に伝わりやすい、揚げ鍋や底が深めのフライパンを使うのがポイントです。
もちろんフライパンでもOKですが、底が深くないので油を多めに入れて揚げるといいでしょう。
天ぷらの起源
天ぷらの起源や日本への伝来については、いくつかの説があります。
何をもって「天ぷら」というのか、その定義がはっきりしていなかったようで、地域や時代によっていろいろな起源説が誕生しています。
ポルトガルからの伝来「ぺスカド・フリート」起源説
和食の代表ともいえる「天ぷら」ですが、その起源は、13世紀のエジプトだといいます。
小麦粉をまぶしてから揚げた魚を、酢とハチミツと香辛料で味付けして食べていたというのです。
日本には、ポルトガル人によって伝えられました。
「天ぷら」はポルトガル語で「四季の斎日」を意味する「テンポラ」が語源という説があります。
四季の斎日とは季節のはじめの三日間に祈りと節食をする習慣です。
この期間中信者は肉を食べる事が禁じられるため、魚などに小麦粉の衣を付けた料理を食べていました。
この料理が日本に伝わり「天ぷら」になったと言われています。
この他にもポルトガル語で調味料・料理を意味する「テンペロ」や、「あ・ぶ・ら」の当て字で「天〔あ〕・ぷ・ら」など、語源に関しては様々な説があり、どの説が正しいのかはっきりした事はまだわかっていません。
「天ぷら」は、ポルトガルから伝来されたのですが、そのルーツは、ポルトガルではなく、6世紀のペルシアにあるのだそうです。
ペルシアの王、ホスロー1世の好物は、「シクバージ」と呼ばれる、甘酸っぱい牛肉の煮込み料理でした。
10世紀にはすでに、その煮込み料理に魚も使われるようになり、レシピは、地中海から西へと広がり続け、料理の名前とレシピも変容していきました。
その流れからか、1500年代初めのスペインとポルトガルに、揚げた魚に酢をかけて食べる「エスカベーチェ」や「ぺスカド・フリート」という料理がありました。
先に述べた、「天ぷら」のレシピが最初に発見された13世紀のエジプトで、小麦粉をまぶしてから揚げた魚(酢とハチミツと香辛料で味付けしたもの)を、「シクバージ」から進化させながら、スペインやポルトガルが取り入れて「ぺスカド・フリート」が「天ぷら」の形になって行ったのだと思います。
この「ぺスカド・フリート」が、日本に持ち込まれ、「南蛮料理書」という日本語で書かれたレシピに、衣をつけて揚げた魚のレシピが載っています。
この料理が、日本語で「天ぷら」と呼ばれるようになったそうです。
日本にあった精進料理やかまぼこが起源説
奈良時代 – 平安時代に伝来したものは、米の粉などを衣にしたもので、その後16~17世紀には西洋のフリッター(洋風天ぷら)が伝来しています。
「てんふら」という名称で文献上に初めて登場するのは1669年(寛文9年)の『食道記』ですが、「素材に衣をつけて油で揚げる」という料理法は既に精進料理や卓袱料理などによって日本で確立されていたため、それらの揚げ物料理と天ぷらの定義の曖昧さによって混同されました。
特に、西日本では魚のすり身を素揚げしたもの(揚げかまぼこのじゃこ天や薩摩揚げなど)のことをいいます。
江戸時代の料理書では、これらの両方を「てんぷら」と称していたようです。
「長崎天ぷら」起源説
16世紀には、南蛮料理を祖とする「長崎天ぷら」が誕生しました。
これは衣に砂糖、塩、酒を加えラードで揚げた味の濃いもので、何もつけずに食べるものでした。
これが関西で、野菜を中心としたタネを、ごま油などの植物油で揚げる「つけ揚げ」に発展しました。
そして江戸幕府開府とともに天ぷらは江戸に進出、日本橋の魚河岸で商われる魚介類をごま油で揚げる「ゴマ揚げ」として、庶民のあいだに浸透していったといわれています。
当時の天ぷらはゴマ油で揚げることで魚の生臭さを消し、同時に魚介類の保存期間・賞味期間を少しでも伸ばそうという目的でもあったようです。
以上が「天ぷら」の起源ですが、そもそもの「天ぷら」の定義が、地方や時代によって違うため、はっきりした起源はまだわかりません。
まとめ
今回は、和食の王道「天ぷら」の「天ぷらの美味しい揚げ方は?具や鍋の種類は?起源も知りたい」についてお話してきました。
天ぷらの美味しい揚げ方の秘訣10選をあげてみました。
衣を冷すことと揚げ方で、サクサクの美味しい天ぷらができるようです。
具はできれば旬の美味しいものを。天ぷら鍋は深いものがおススメでした。
そして起源については、定義がはっきりしていなかったため、時代や地域によっても諸説ありました。
「天ぷら」は家庭料理の中でも、上手につくるには難易度が高いお料理で敬遠しがちですが、食卓に「天ぷら」があるだけで、和やかな雰囲気になります。
是非、今回のコツを実践して、美味しい天ぷらを揚げてみてくださいね。